2010年5月15日土曜日

細胞生物学を学び直し

講義の準備,取り組み甲斐のある手強い仕事です.
教科書は,「エッセンシャル細胞生物学」

かの有名な「細胞の分子生物学」から派生した教科書です.
こちらの第5版も参考にしながら講義を構成しています.

どちらも,読めば読むほど名著です.
こういった教科書を編纂するというのは気が遠くなるほどの労力と時間を要するでしょう.
はしばしに,読者に細胞の精緻な仕組み理解させよう,この学問分野を積み上げて来た先人たちの偉業の素晴らしさを伝えよう,という情熱が感じられます.そしてかならずユーモアがちょっぴり混じっている.考えてみると,大学生時代の勉強の過程において,他の科目の教科書でユーモアの要素を感じた記憶はありません.これは,読者を楽しませよう,という著者の気持ちなのだと思いますが,同時に,「この分野に入っておいでよ!」というメッセージなのかもしれません.

ユーモアのセンスは章末問題などにも現れます.

「あなたの友人が,がんの研究のために,100ドル寄付をした.しかしその寄付がビール酵母の研究に使われることになるということを知り落胆している.どのように慰めたら彼は気を取り直すことができるだろうか」

「機密研究所でラットを犬の大きさにするための研究をしているM博士.彼はどの方針を採用するべきか.A.アポトーシスを阻害する B.p53の機能を阻害する C.増殖因子,分裂促進因子または生存因子を過剰発現する D.タクシー運転手の免許を取って,転職する.それぞれの選択肢からどのような結果が得られると思うか」
で,解答を見ると,
「D.状況を考えると,転職も悪くない(つまり,プロジェクトが成功する見通しはほとんどない)」とあったり.

細胞生物学をまた初心に戻って学び直し,楽しんでいこうと思います!

2 件のコメント:

たかはげ さんのコメント...

ご無沙汰しています。たかはげです。
 「細胞の分子生物学」,「エッセンシャル細胞生物学」両方とも,いい教科書ですよね。ユニークな問題といえば,別冊の問題集もあったような・・・
 私も,職業編集者(まだまだなんちゃってですが)として,いつかは,これクラスの教科書を手がけてみたいなあと,思っています。

ちえこまま さんのコメント...

たかはげさん,コメントありがとうございました!

>「細胞の分子生物学」,「エッセンシャル細胞生物学」両方とも,いい教科書ですよね。ユニークな問題といえば,別冊の問題集もあったような・・・

細胞の分子生物学の方は,プロブレムブックというのが別冊でありますね.英語版は持っています.

> 私も,職業編集者(まだまだなんちゃってですが)として,いつかは,これクラスの教科書を手がけてみたいなあと,思っています。

きゃぁ!カッコいい!

ぜひ,次のエントリに注目して下さい.もしご興味あったら連絡ください.