2009年6月7日日曜日

脱「ひとり勝ち」文明論

最近、小飼弾さんが紹介された本をたまたま続けて読んでいるのですが。
小飼さんのブログで絶賛されているものはハズレがないなぁ、と思いつつ、一気読みしました。
脱「ひとり勝ち」文明論 清水浩著

大変平易な文章でわかりやすく、しかもさまざまな喩えや引用が実に巧く、
何より中心となるテーマ、エネルギー論と電気自動車を軸に
最終的にはあたらしい文明論を展開されていました。
高校生、大学生、大学院生に特におすすめな本と思いました。

私はずいぶん年を食ってしまっていますが、私がいま高校生でこの本を読んだら、
本気で太陽電池の研究を目指してしまうかも、と思ったくらいです。
(数学と物理を克服しなくてはいけないけどな)

また、サイエンス&テクノロジーの話がメインテーマではありますが、
歴史、文化、文明といったことに広く思いを馳せながら、主張を展開しています。
その発想の飛躍力(あまり良い響きじゃないかしら...)にも何度も驚かされました。

本書の中で、著者の清水教授は過去に何度もプレゼンがきっかけでポストを得るチャンスを得てきたと書かれています。
多分、聴衆や読者を「その気にさせる」構成力と説得力に長けた方と想像します。

第一章冒頭に紹介されていますが、今の高校生の9割は、「未来は悪くなる」と予想しているのだそうです。でも、オープンキャンパスで清水教授のお話を聞いた後は、逆に「良くなる」が9割、「悪くなる」が1割となったそうです。

おそらくそのお話も、きっと高校生たちを「その気にさせる」卓越した講演だったと思うのですが、ポルシェ並みの性能と驚くべきエネルギー効率の良さを兼ね備えた電気自動車エリーカを開発した方であるという実績の裏付けがあるからこそ、ますます「その気にさせられる」のでしょう。

一気読みしてしまいましたが、これは何度も読み返したい本です。
20年後、「ああ、この時代にこういうことが既に予言されていたのだなぁ」と思い返したい。
そんな明るい未来が来ることを願います。

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