2010年6月9日水曜日

ICARに参加しました

International Conference on Arabidopsis Research が6日の日曜日の午後から10日木曜までパシフィコ横浜で開催されています.通いで参加しました.

初日のKeynote lecture,シロイヌナズナ研究の大御所中の大御所,CALTECHのMeyerowitz教授の講演が,衝撃的でした.

ちょうど数理生物学的なものに興味を持ちはじめたところだったこと,また,イメージングでも単なるスナップショットではなく長いタイムラプス画像をベースにしていること,が,私のハートにどんぴしゃ来るものでした.

葉序(phyllotaxis)のパターンが,オーキシンの濃度とPin1のモデリングで見事に再現されていました.しかも,中心の細胞を除いてやったらどうなるか,ということをモデリングで予言し,実験的にも確認できた(レーザーで細胞を殺したら予言と同じ結果が得られた),というのが驚きでした.

最終日のPlenary lectureでも,葉序のモデリングの話がありました.こちらもとても見事に再現されていました.
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ええと,もう少し解説を加えておきます.
葉序,というのは,大変簡単に言うと,葉のつき方,出方の規則性です.
その辺に生えている草や,野菜を少し注意深く観察すると,葉をはじめとする器官は大変精緻に配置されていることがわかることでしょう.葉序のパターンは種によって違います,いくつかのパターンに分類することができます.

葉序のパターンというのは,数学的な規則性があるため,古くから人々の興味を引いてきました.12世紀イタリアのフィボナッチが見いだしたフィボナッチ数列と関連しているということも有名です.

植物ホルモンオーキシンの濃度と,オーキシンを細胞から排出して隣の細胞へ移動させるPin1という分子の振る舞いを,いくつかの仮定のもとにコンピューターでモデリングしてやったら,自然にできる葉序と大変似た形成パターンが再現できた,ということです.
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これらの発表を聞いて,
「数理生物学や理論生物学が,新たなフェーズに入った」,
という強烈な印象を持ちました.

こんな強烈な印象を持った発表は,10年ぶりくらいです.ちなみにそのときはGFPを使ったライブイメージングの話でした.その後数年で爆発的にシロイヌナズナ業界に広まりました.
モデリングもこれからしばらく,華々しい発展をするだろうと予想します.

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