今日は研究員会議総会でした.
去年の川口先生の特別講演から,あっっっっという間の1年でした.
でもそう思うと,自分が幹事をやっていた頃には,現在小一の長男が,2歳だった頃(=下の子が現在2歳)なのです.時が経つのは早いものです.
今年の特別講演は大栗博司先生でした.
私が尊敬するBSIの宮脇先生の高校の同級生でいらっしゃることを,大栗先生のブログで知りました.ちなみに幹事をやっていた時に同期だったYさんも,同じ高校の出身(1年後輩)だったそうです.大都市の御三家と言われるような学校出身でなく,地方の公立高校からこのような方々が輩出されていることを思うと,少しばかり嬉しくなる私です.
講演は,超弦理論に関するものでした.私には全くの,それこそ分野外のさらに外の話題であり,私は本当に素人同然で,参加しようかどうか迷うくらいだったのですが,これが本当に面白かった.これまでどういった経緯で物理学の研究が進んできたのか,どういったことが解けないでいるのか,という問題提起や,何がどういうことになぞらえることができて,という比喩表現が,大変絶妙に表現され組み立てられていて,何となくわかったような気にさせる,少なくとも,全くの分野外のオーディエンスにも,ああ,面白い!聞いていて楽しい!という気持ちを起こさせる,本当に素晴らしい講演でした.うっかりこんな講演を学部1年とかの時に聞いていたら,ちゃんと数学と物理を勉強し直して,そちらの方面に進もう,なんて考えてしまったかもしれません.
つかみも伏線も,一つの映画を見ているかのように,飽きさせることなく,聴衆に畳み掛けてくるような構成でした.こういったtalkができること自体がプロフェッショナル,と思いました.もちろん,研究がものすごくできるけれどもこういったtalkが苦手,という研究者がいるのは経験上確かです.しかし,アメリカの教育の現場では,こういったtalkでごく普通に若い人材が育てられているのだと思うと,なぜだか嘆息が出てしまいます.自分がそういった教育を受けた気がしないということと,自分がこれからそういった教育を提供できるかどうか自信がないということに起因します.しかし,未来は変えることができるかもしれません.
今年も,子連れで懇親会に参加させてもらいました.記念写真の時には,主賓の大栗先生と河合理事の間に上の子が入るという,全くもって恐れ多い配置で撮影していただきました.うちの子は,もし万が一科学技術の道に進んだとしたら,吃驚仰天,あら大変,と思って欲しいところです.本人は今のところ,サッカー選手か,レストランのシェフか,将棋の棋士になるつもりでいるらしいです.(あ...,そう言えば,去年川口先生にお会いした時にはJAXAのひとになる,って言っていましたね...)
去年の川口先生の講演でも,涙が出そうになりましたが,今年も,以下のスライドを見た時に,とてもemotionalになりました.
「基礎研究はきっと役に立つ」
「研究者自身の研ぎすまされた精神が何よりのコンパスだ」
「(だから)研究を真剣に楽しもう」
こうやってタイプアウトしていても,涙が出そうです.
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