2012年5月15日火曜日

「『有名人になる』ということ」 壮大な実験とそのレポート

勝間さんの新刊,「『有名人になる』ということ」 を読みました.

先週の頭,〆切仕事に追われながらtwitterなどを眺めていたら,この新刊,評判が良くどうも品薄らしいということ.
(ミニパーティーで干場社長から聞きましたが,前の本の売り上げによって,初版を何部刷るか決めるのだそうです.で,今回は少なかったらしいのです.)

そこでDiscover21のサイトから,電子書籍と紙の書籍セットで購入.
電子書籍,決済が終わったらすぐに読めると思っていたのですが,そういうわけではなく2日くらいかかりました.(仕事でオンラインジャーナルに慣れすぎたせいですね.)
ついでに,出版記念ミニパーティーも勢いでポチっとしてしまいました.
それが確か先週の頭.ミニパーティーの前に読んでしまわないと...,と思っていたので少しじりじりしました.
結局水曜か木曜には読めるようになっていて,パーティーの直前で何とかiPhoneで読了.

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ここから,ちょっと昔を思い出してみます.

私はsuikyoさんに教えてもらって,2006年頃からムギ畑の会員になったり,勝間さんのブログを読んでいました.
第一子が1才そこそこで,仕事と家庭の両立に悩みまくっていました.
そこで輝く星のような存在だったのがムギさん,すなわち勝間さんでした.
シングルでお子さんが3人いて,バリバリのキャリアウーマンで.
今は閉館してしまった女性と仕事の未来館で行われたムギ畑のイベントにも参加したりして.
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2006/11/1111__8dd6.html
この時リアルの勝間さんをはじめて見ました.
処女作の「インディで行こう!」も買いました.
これに触発されて,育児ブログを始めたりして.
 その後ムギさん改め勝間さん,会社辞めて独立したらしいとの話を聞き.

そして1年もしないうちに,あの大ブームがやってきました.2008年です.
このブログも2008年春,「自分をグーグル化する方法」に触発されて始めています.

その後ものすごい勢いでメディアに浸透し,認知度(この本で言うところの「非助成認知率」)が高まっていったわけです.

その時思ったのが,

「勝間さんは,今壮大な実験をしているのではないかしら」
 
明らかに,戦略的にいろいろな次の一手を繰り出し続けているという気がしました.
私のブログの過去記事で,そのような記述を明言している場所を探してみましたが,残念ながら見つからず.
強いて言えば,この記事の「帰路につく」あたりに以下のようにちょっと言及している程度です.もっとちゃんと書いておくんだったなぁ.

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○このインディは,裁断される寸前だったのを,勝間さんがしのびないと思い,セミナー参加者に配ることにしたのだそう.表紙を開くと,"Katsuma Serendipity" とスタンプが捺してありました!おおお.これも何かの実験でしょうか.
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その後,ますます飛ぶ鳥を落とす勢い.昔からのファンだった私は,勝間さんのブレイクを喜ぶとともに, なんだか随分遠い存在になってしまった,という感も否めませんでした.
女性と仕事の未来館のホールですれ違った勝間さんと,テレビの向こうにいる勝間さん.

そして,「結局,女はキレイが勝ち」のあたりから,正直ちょっと違和感を感じるようになってしまいました.

私は第2子出産と復帰でどたばたと日々を過ごしており,ブログの更新も,新刊本チェックも以前ほど熱心ではなくなってしまいました.
(それでも「まじめの罠」とかは買って読んでいました.)
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そしてそこから約2年半.
驚くべきことに,あれは勝間さんの壮大な実験だった,ということがこの本で明らかにされました.私はつい「実験」という言葉を使ってしまいますが,この本の中での表現で言うと,

「有名人ビジネス」
「有名人になるプロジェクト」

を,遂行していたのです.
この本は,その実験結果の報告書,レポート,と言っても良い.

そしてそれをしなければいけなかった理由(会社を辞めて興した投資顧問会社がリーマンショック等の影響で行き詰まった)が冒頭で語られていて,
(これは論文やレポートで言うところのIntroductionにあたるかもしれません)
「そういうわけだったのか...」
という気になりました.なぜ,当時あそこまでやっていたのか.一気に腑に落ちました.

しかしその後語られる「有名人になること」のデメリットについてや,「終わコン」のくだりでは,もう,読んで胸が痛くなりました.何もそこまでして...,という気持ちでいっぱいになりました.

はい,ここで私が普通の人,一般の人,凡人だということがわかります.
「何もそこまでして...」
と思うのは,一般人,普通の人,なんです.

勝間さんや,私のもう一人の敬愛するおっかさん先生,西原理恵子先生は(この本の帯もサイバラ先生がイラスト書いてます)が一般人と違うのは,

負けても負けても負けても負けても負けても
また
じゃんけんじゃんけんまたじゃんけん
を繰り出せる精神力の持ち主,というところなのです.

バスケットボールやサッカーでは,
「シュートは打たなくては入らない」,
とよく言います.
普通の人は,あるところでシュート練習を,あるいは試合でシュートを打つ事を,
そしてあるいは試合に出る事自体を,さらに言うとそのスポーツをすることそのものをやめてしまいます.

シュートが入らなくて辛くても,試合に勝てなくても,試合に出してもらえなくても,
そこでやめない人,シュートを打ち続ける人,しか残れません.
しかも,そこれやめなかったからと言って,次にチャンスがあるかどうかも限らないのに.
それでも練習するのです,シュートを打つのです.次の手を繰り出すのです.

仕事にも似た側面があります.
シュートを打ち続けるのが厳しくなったらアシストに徹することもあるかもしれない,
それでもとにかく試合に出させてもらう.
試合に全然勝てないかもしれない,
それでもとにかく試合をさせてもらう.
怪我で一時期現場を離れなくてはならないこともあるかもしれない,
それでもそのスポーツ自体をやめない,またいつかフィールドに戻ってくることを夢見て続ける.

一握りのスタープレイヤーは,
とにかくやめない→試合をする→試合に出る→試合に貢献→シュートを決める
の最後までやり抜くのです.
負けても負けても負けても負けても負けても,
ある確率で勝つならば,数が多ければいつかは勝てるのです.

勝間さんは,言ってみれば,「有名人になる」というフィールドで,プレイヤーになるために,一つ一つ練習を積み,アクションを起こし,細かにチェックして,次の戦略に結びつけて行ったのでしょう.なので,試合に出し続けてもらえたし,シュートも打つ事ができたということなのでしょう.

2011年は,このビジネスにいったん小休止を入れたそうですが,2012年からまた始めるそうです.

勝間さんの本の特徴は,読者に最終的に行動を促す,という点です.
今回この本を読んで,私自身が「よし,メディアに露出して有名人になろう!」と思って行動を起こすことはしませんが(笑).
自分の行動を戦略と分析の観点から管理するというのは,あらゆる仕事の場面で役に立つことだと思います.
実は近々私にも大きな転機が訪れます.
そのときに,参考にさせてもらおうと思っています.

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追記)
ミニパーティーでは,勝間さんご本人にお会いして,紙の書籍にサインをいただきました.こんな肝心な日に名刺を忘れてしまうという大失態を激しく後悔しましたが,またいつかお会いできることもあるでしょう.

追記)
あと,唐突ですが,
有名人になるということは,究極のメタ認知の方法,なのかもしれません.
茂木健一郎さんもそれを利用していたのかしら.

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