読書メモ,カテゴリ数にすると意外と少ないですね...
4月以降,意識して読書量を増やしているのですが.
インプット量に対してアウトプット量が追いついていない,ということでしょうかね.
読んだまま忘れちゃうのも嫌なので,メモメモ.
○「佐藤可士和の超整理術」
○「理系のための口頭発表術」
○「グーグル完全活用本」
昨夜読了したのが,
○「ダークレディと呼ばれて 二重らせん発見とロザリンド・フランクリンの真実」ブレンダ・マドックス
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%81%A6-%E4%BA%8C%E9%87%8D%E3%82%89%E3%81%9B%E3%82%93%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%81%A8%E3%83%AD%E3%82%B6%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/dp/4759810366
これは,かなり読みごたえがありました.
この本だけについては簡単に紹介します.
20世紀最大の発見と言われる,DNAの二重らせんモデルにまつわる話です.
この業績で1962年に,ワトソン,クリック,ウィルキンスの3人がノーベル賞を受賞しましたが,その功績に決定的な影響を与えながら受賞の4年前にがんでこの世を去った女性科学者,ロザリンド・フランクリンの伝記です.
中盤くらいまでは,読み進むのにちょっと努力を要しました.
なぜなら,
非常に丁寧ではあるけれどもある意味淡々とした描写が続いたからです.
銀行家の娘として裕福なユダヤ人家系に生まれたロザリンドが幼少期から青年期をいかに過ごしたか(もちろん超優秀な学生だったようです).第二次大戦を挟んだ当時の時代背景などなどがつづられています...
しかし最後まで読み進むと,彼女の生い立ちと人となりの真実を説得力のある形で記述しているという点で,重要な基盤となっていることに気づかされます...
中盤以降は,夢中で読みました.
物語の中核,ワトソン・クリックの二重らせんモデルへの決定的な影響を与えたとされる,DNAの仕事に取り組むことになるあたりからです.
イギリスで教育を受けた後しばらくパリで研究生活を送り,30才頃既に彼女は炭素の研究で研究者としてのキャリアを着実に積み上げていました.そして本人には不本意なところもあったようですが再びイギリスに戻ることとなります.そこで待っていたのが,DNAの研究だったわけです.ほどなくして,ワトソンとクリックが割り込むようにして登場し,ウィルキンスとの確執もひどくなってきます.
そして長く語り継がれることとなった大事件へとつながります,
「彼女の撮った回折像を,ワトソンとクリックが(ロザリンドに無断で)ウィルキンスを通じて見せてもらった」
彼女は決定的な証拠を提供しながらその栄誉にあずかることなく若くしてこの世を去る悲劇の女性科学者,であることを多くの読者はこの物語を読む前から予備知識として知っているでしょう.まるで映画タイタニック,のようです.聴衆がすでに悲劇的な結末を知っているので,見る側もどんどん引き込まれて行きます.
そして,悲しい結末へ進むのです.がんと闘いながら気丈に最後まで研究に打ち込む姿,独身であり資産家の娘であった彼女が遺産を誰に相続することにしたか,ワトソンのベストセラー「二重らせん」で悪役として描かれてしまった悲劇と不当さ...,これらのくだりには,本当に心が揺さぶられます.
しかし一つ認識を新たにしたことは,彼女は非常に優秀な研究者で,30代後半の若さで亡くなったにもかかわらず,輝かしい業績を既にいくつも出していたのです.若くして亡くなってしまったのは本当に惜しいことですが,彼女自身は科学を愛し研究を心底楽しんでいたようです.なので,読後感は,予想していたほど悲壮感はなく,むしろ彼女の人生はきらきらと輝いていたのだということを知ることができて良かった,という気になります..
また,料理がとても上手であったこと,独身であったけれど,大の子供好きであったこと.でも,キャリアを維持することと子供を持つこと,この二つを両立することはできない,と心に決めていたらしい.恋もしたようです.結婚するかもしれない,と思った独身男性に出会ったけれども,既にその頃病気を患っていてあきらめた,というのが悲しいところです.
著者の取材力,構成力,筆力,には脱帽です.描写は実に鮮やかです.全てが必要なコンテンツだったと最後に気づきます.ちなみに,著者の夫たる方はNatureの編集長をつとめられたこともある人物だとか.
ウィルキンスの「二重らせん 第三の男」も読みたいなと思いました.
あ,遅ればせながら,名高い(悪名も高い?)ベストセラー,ワトソンの「二重らせん」も...
(この業界にいながらまだ読んでないのか,と自分にツッコミです...ははは...)
3 件のコメント:
今、「生物と無生物のあいだ」を読んでいて、↑ここにあげられてる本も遅ればせながら読んでみたいなぁ、と思っているところです。フランクリンのことも、悲劇の女性、としか知らないので…
あ,「生物と無生物のあいだ」,私も読みました.1年前くらいだったかな...「ダークレディと呼ばれて」,は,その著者,福岡伸一氏が監訳されていますね.ちなみに「もう牛を食べても大丈夫か」も持ってますよ.今度また遊びにいらして下さった時にでもお貸ししますよ.
ありがとうございます!
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