2009年5月19日火曜日

ダチョウ抗体

2週間くらい前でしょうか、職場に来てくれるなじみの試薬関係の業者さんが、
「インフルエンザ対策に、抗体つきのマスクいかがですか」
とのこと。
研究費では買えませんよ、とお返事しましたが、
「そもそも何の抗体なんですか?」と聞くと
「ダチョウ抗体です」
ええと、じゃなくて、何の抗原に対する抗体なのでしょう?

ラボ仲間にそのマスクについての話題を振ってみたところ、
やはり質問は同じで、
「何の抗原に対する抗体なの?なんでダチョウなの?」

で、それまでは何となく、
「そんなんだったら意味ないんじゃ?」
という雰囲気だったのですが。

今日目からウロコが落ちる思いがしました。
ダチョウ抗体、すごい!

------------------------------------

きっかけは、今日小飼弾氏のブログ、「ダチョウ力」の書評を見たこと。
で、改めて「ダチョウ抗体」で検索してみたところ、
こんな記事を見つけました。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/081201/scn0812010810001-n1.htm
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu2007/pickup/200801/505318.html
http://www.ecaroroku.com/edrdachomask/
ダチョウ!すごい!

ダチョウの卵一個からとれる抗体の量は4グラム。グラムです、グラム。
しかも、親鳥に抗原を打つと、卵黄に抗体ができる。
なんて簡単。どんどん増える(ここがミソだと思う、普通、免疫した動物から全採血してそこから抗体を精製するので、抗体の量は一個体から取れる血の量が制限要因となる。しかも、個体ごとに抗体のクオリティは違ってきてしまうので、質の良い抗体というのは量が限られるし、ある意味運任せなところも。)

で、その親鳥は年間100個の卵を産む。
一羽から、年間400gのほぼ均一な抗体ができるというすごさ。
400gって、ホットケーキミックスひと箱くらいの量ですよ。
で、何歳まで卵を産めるのかは知らないけれど、ダチョウは長命で、なんと60年近く生きる!

既に売られているこれらの「ダチョウ卵黄抗体マスク」、では抗原はいったい何なのか。
http://www.koutai-mask.com/mask_feature/index.html
それはこのページに書いてあって、
「季節性インフルエンザに加え、鳥インフルエンザに対して選択的に結合するIgy抗体が100兆個以上、敷き詰められています。」

また、この抗体マスク、
「抗体マスクは、文部科学省・科学技術振興機構(JST)の独創的シーズ展開事業・大学発ベンチャー創出推進プロジェクトの研究成果を基に、産官学連携開発により実現した商品です。」
京都府立医大の塚本康浩教授がそのプロジェクトの中心となっているようです、私が上で紹介した産経ニュースにも出ていらっしゃいますが、この方が小飼弾氏が紹介した本「ダチョウ力」の著者です。

この本、読まなきゃ。
ダチョウ卵黄抗体マスク、買ってみようかな(自費でね)。
あと、マスクを教えてくれた業者さんに、この情報教えようっと。

2 件のコメント:

myu さんのコメント...

ダチョウすごい!
そのマスク興味深いです。私も買おうかな。

ちえこまま さんのコメント...

myuさん、コメントありがとうございました!

> そのマスク興味深いです。私も買おうかな。

myuさんの場合業務上あった方がいいかもしれないですよね。そういう場合研究費で買ってもいいという判断がおりるかもしれません。
ただ、そこそこの値段がするようです。確か一枚当たり200円くらいになるのかな。。。

しかしダチョウすごいですよね。