2008年6月13日金曜日

キャリアセミナー

昨日は,人事部キャリアサポート室主催,若手研究者向けのキャリアセミナーがありました.
私は既に若手研究者じゃありませんが(orz 科研費も若手じゃもう出せないらしい)
平野先生の話が聞けるというので,前々から楽しみにしていました.

でも,コドモがお熱だったので,開始15分前に夫に家に戻ってきてもらい,
猛ダッシュで出ようとしたところ,

コ「ママなんで着替えてるの〜」
私「(しまった気づかれたか)セミナー聞きにちょっと出かけてくるんだよ」
コドモ,とたんに泣きゴーオンジャーに変身,
コ「イーヤーダー,イッショニ,イクー!!!イーカーナーイーデー!!!」
号泣→泣き過ぎて嘔吐すれすれ→嘔吐は持ちこたえたが鼻血...

そんなゴーオンレッドをなだめすかしなかば振り切るようにして,
行ってきましたよ,キャリアセミナー...ふうううう.
ごめんよ...,ママちゃんと勉強するよ.

...やっと本題です.
3つトークを聞けました.

【土肥先生】

研究所の理事の中でただ一人,scientist としての backgroundを持つ方です.

ご自身のポスドク時代を振り返りつつ,
また過去に研究室を主催した経験を通して,
若い世代の研究員に送るメッセージ,という内容でした.

博士研究員制度の光と影,について述べられていました.
印象に残ったので以下抜粋です.
○光
>研究に100%集中できる
>専門分野の深化とともに総合力を育成できる
○影
>的確な自己評価と行動が必要

私はポスドクではなくなってしまいましたが,
定年制の職に就いたとは言え研究者稼業をやっていると相変わらず,
「的確な自己評価と行動が必要」
であることに変わりはないなぁ,と思っています.

研究に100%集中できる,というのはある意味懐かしくも羨ましい...
私のポスドク時代を振り返ってみると.
確かにほぼ100%,自分自身のために時間が使えるわけで.
かと言って,全身全霊サイエンスにつぎ込んでいたか,というとそうでもないなぁ.
意外と,研究室の他のメンバーと飲んだり,バレーボールをしたり,という過程を通して,
良いアイディアが生まれたり,これやってみよっかな,と思ったり.
(先生も,ポスドク時代,ゴルフかテニスをほぼ毎日やっていたそうです.)
適度な運動は知的生産性を高めうる,というように自分なりに咀嚼.

私がgetしたtaking home messageは.
最後のスライド,
「これまでに感謝を,いまに信頼を,そしてこれからに希望を」

確かに.
良い勉強になりました.

【平野先生】

学位を取ってすぐに渡米し,在米17年ののちに,去年日本に戻られた先生です.
アメリカでラボを主催した経験,その20年弱の間に,激変した日本の研究環境.
博士研究員激増.
これらの背景をふまえ,日本のシステムの問題点,
これからどうあるべきか?について考察されていました.

これまで何度か会議でご一緒することがあったのですが,
先生のコメントはいちいち非常に切れ味が鋭いのです.
サイエンスでのプレゼンテーションは一度拝聴しましたが,見事でした.
こういった毛色の違うtalkでどういうお話をしてくださるのかしら,というのが,
とても楽しみにしていた理由です.

やはり,
○構成
○切れ
がすばらしく,スライドの一枚一枚がずばりずばりずばりと明解です.

残念ながら時間切れでサルの国,モグラの国のところは省略されてしまいましたが.
聞きたかったなぁ.

生きる基本としての理系思考(カッコ内は私の所感)
・新しい問題を見つける
(これが一番大事で難しいところだよなぁ.新しくて,重要で,根源的でありながらシンプルな問題)
・広く情報を集める
・論理的な解決法を探る
・綿密に計画する
・失敗を恐れずに実行する
(ここまでの4つが日々の実験とデータ取りの部分にあたり,互いに非常に密接に関連している.「論理的な解決法を探る」,については,「新しい問題を見つける」,の次に大事で難しいところだと思う.もっと噛み砕いてしまうと,無駄な実験をせずに最大の結果が出るような段取り力,が,「論理的な解決法を探る」に包含されるかも.)
・自分の考えを広く深く社会に伝える
(まず大事なのは論文.次に学会発表.文章力だけでなく,プレゼンテーション力,構成力,説得力,などが問われる.拡大解釈すると,グラントへのアプライもこの項目に入るかも?ブログもか?)
・我々がやっていることは特別なことではない.そのまま社会で通じる,はず.もしこうしたトレーニングがしっかりできていれば.
(ぐっときますね.最近ビジネス書を読むようになったのですが,何らサイエンスの世界と変わらないなぁ,ということもたくさん書いてあるなぁと思っていたので.大事だ,ロジカルシンキング.)

私がgetしたtaking home messageは,
○日本は,審査システムから建て直さなくてはならないだろう.
審査員にも教育やトレーニングが必要なのではないか?
○自分の信念とスタイルを貫き,つまらない批判に耳を貸さず,最高の舞台にチャレンジして,最高の仕事をする.(野茂に学べ!

良い勉強になりました.

【原先生】

フロンティア研究システム,というところで,長年に渡り多国籍のポスドクのかたがたと仕事をされたbackgroudを持つ先生です.

「うだつ,引き,覇気の大切さ」
「自分で自分のメンタルヘルスをコントロールできる能力」

○気持ちがぶれない
○状況に左右されない
○気持ちがケチではない,人を優先する
○人にイヤな思いをさせない
○人がハッピーでなければ自分もハッピーになれないことを知っている
○演技力,演出力,表情が豊か

あー...わかるわかるわかる.
いくら優秀・有能でも,人にイヤな思いばかりさせる人とは仕事したくないもの.
と思うと,自分は人にイヤな思いをさせてないか?とか気になりますね.
自重自重.ネガティブなメッセージを発行しないように気をつけよう.
ポジティブなメッセージ(情報)をgiveの5乗で!

私がgetしたtaking home messageは.
ドン!
「最後は,努力と根性と気合い」

良い勉強になりました.

3 件のコメント:

suikyo さんのコメント...

大変勉強になりました!!
どうもありがとうございます!

ママ研究者 さんのコメント...

引き、と覇気、というところにとても共感しました。

引きの強さ、は、研究者には重要ですよね。
個人的には、引きの強い人は、単に運が良いわけではなく、それを引き寄せるような選択をしていると思ってます。

それにしても、職場には、覇気がない人、増えてます。あたかも伝染病のように・・・。

じょうぶな心、自立と自己責任。
大事、大事♪

ちえこまま さんのコメント...

> suikyo さん
これはどうしても記事にしたかったのです.お役にたてて良かったです!

> ママ研究者さん
そうそう,「引き」は,”prepared mind”にやってくる,のでしょう.
覇気なし症候群,怖いですね.私も冬までそうだったかも.上手に自分をメンテしていきたいです.