2008年9月23日火曜日

読書メモ -理系のための人生設計ガイド

ちょうど昨日読了したところでした.
ママ研究者さんのエントリ,と共鳴するところがあったので,アップします.

理系のための人生設計ガイド
- 経済的自立から教授戦,会社設立まで -
坪田 一男著

著者の坪田先生は,慶応義塾大学医学部教授で5人の(!)お子さんのパパでもあります.

まずまえがきの冒頭部分でものすごく共感できる一文.

「楽しくなければ研究じゃない」

これに引き込まれるようにして,あっというまに読了しました.
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あまりにネタバレしてしまうと問題もあるかと思うので,オビに書いてある目次の抜粋からはじめたいと思います.コンテンツは,11の設計から成っています.そのうち,

設計3 経済編
「研究者こそ経済的自立が必要だ」
設計6 ポスト編
「母校の教授になるために」
設計7 業績向上編
「ノーベル賞を狙う気持ちで研究する」
設計9 インフラ編
「会社,学会,NPOを用意する」

このいくつかの見出しを見るだけで,「えっ!」と思ってしまいませんか.
なかなか,こうもズバッと言える人は少ない.
で,驚くべきことに
この全てに関して,先生は達成されているのです.
(だからこういう本が書けるというもの)
(追記:ノーベル賞は未受賞ですが,狙っているでしょう.)

最後の,会社,学会,NPO って!
正直自分ではハナから,ムリムリ,って思ってしまいますが,坪田先生はこれを,ひょいひょい,と乗り越えてしまったのです.一番乗り越えにくいのは心のハードルだ,とおっしゃっています.私はここにひどく共鳴しました.

ではどこからその原動力が来るのか.
それはおそらく
「バリュー」(何に対して一番価値を感じ,何を最も大切だと思うか)と
「ミッション」(自分がやりたいというよりも,神様にやれと命じられている!くらいの必然を感じる使命)
「ストラテジー」
が明確であることが全ての根本にあるように思います.
(これは,設計2の自己分析編で紹介されています.)

坪田先生のバリューは,
『ごきげん』
『ごきげんに生きること』
坪田先生のミッションは,
『人の可能性を拓く』

もう一つ「ストラテジー」もあります.
ここもとても大事です.こちらは是非本文をお読みになって欲しいところ.
「バリュー」「ミッション」と「ストラテジー」は,
勝間さんのセミナーの,「ミッションステートメント」と「予定」に似た構造ですね.

研究者として駆け出しの時点から,海外留学,教授選を経てさらに,会社学会NPOのインフラを整えつつある現在からさらに将来を見据え,125才まで生きるつもりで人生設計を披露されています.全部が全部同じように自分が実現できるかどうかは置いておくとしても,読むだけで十分爽快ですし,自分の行動や生活に取り入れられるようなポイントは数え切れないほどあります.この夏ハマって読んだ本多静六博士の著書と似ている点があるように思います(こちらも近々エントリにしたいです.).

最後に,この著書ではいろいろな研究者の方とのやりとりが,実にいきいきと描かれています.そして,紹介されたやりとりに対し,坪田先生は「感謝している」と書き記してあるか,書いてはいなくても感謝の念が文に滲み出ています.それによって,そのやりとりがまた,いきいきと,またきらきらと光の粒のように輝きを放つのです.目次だけを見ると医学系アカデミアの出世論のようで敬遠してしまうかもしれないけれど,そんな方にこそ一読をお勧めします.

坪田先生,笑顔が本当に素敵です.
著者紹介の写真,本文中にちりばめられている記念写真
(中にはノーベル賞受賞者と「授賞式で」の写真も!)のいずれにおいても,
一番の笑顔で写っているのは坪田先生のような気がします.

ごきげん至上主義に拍手喝采!

2 件のコメント:

suikyo さんのコメント...

ちえこままさんのこのエントリを読んで、即アマゾンでぽちっとして、届くなり読み終えてしまいました。

本当に爽快!かっこいい先生ですね。研究者の経済的自立とか、インフラを整える話など、目から鱗でした。

私も、勝間さんと結構共通するところがあるなーと思いながら読みました。

素敵な本の紹介、ありがとうございました!

ちえこまま さんのコメント...

suikyoさん,コメント有り難うございました!

そうですよね,目から鱗,がぽろぽろ.
読書の醍醐味,と思います.